2004 年 65 巻 6 号 p. 1583-1587
症例は31歳,男性. 22歳時に小腸型Crohn病と診断され,成分栄養療法および薬剤療法が行われていた. 30歳時に回盲部狭窄による腹痛が増悪した際,軽度の右背部痛が認められ,腹部超音波検査にて右水腎症が指摘された.成分栄養療法およびプレドニゾロン,メサラジンの投与が行われたが,腸管狭窄および水腎症は軽快せず,手術が施行された. Bauhin弁より60cm口側までの回腸は著明な炎症所見を呈し一塊となり,腹壁および後腹膜と強固に癒着していた.右尿管閉塞の原因は回盲部の炎症の波及によるものと考えられ,回盲部切除術が施行された.右尿管に対しては術直前にW-Jカテーテルが挿入されたが,術中操作は加えられなかった.術後合併症は認めず,水腎症は軽快した.
水腎症を合併したCrohn病は本邦では20例報告されており,本症例は21例目である.