日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
日本住血吸虫症を合併した肝細胞癌の1例
上杉 尚正山口 栄一郎中村 隆志橋谷田 博丹山 桂竹重 元寛
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 65 巻 6 号 p. 1636-1640

詳細
抄録

疫学的に日本住血吸虫症患者に肝細胞癌が発生することが報告されているが,実際に経験することは稀である.今回われわれは病理組織学的に日本住血吸虫の虫卵結節を確認することのできたB型C型肝炎ウイルス感染のない肝細胞癌の1例を経験した.症例は80歳,男性.右季肋部痛を主訴に近医を受診.腹部エコーで肝腫瘍を指摘され,加療目的で紹介された.精査の結果,肝内に計5個の腫瘍を認めた.肝細胞癌の診断で肝右葉切除術,ラジオ波焼灼療法を施行した.病理組織学的に腫瘍部は中分化型肝細胞癌であった.非腫瘍部は肝硬変像を呈し,グリソン鞘内の門脈枝内に多数の虫卵結節を認めた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top