日本臨床外科学会雑誌
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Bouveret症候群の1例
金澤 伸郎平田 友美山口 高史前田 徹樋口 芳樹黒岩 厚二郎
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2004 年 65 巻 6 号 p. 1641-1645

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抄録

胆石症の合併症としての胆石イレウスは比較的稀とされているが,その中でも十二指腸への胆石嵌頓が原因で胃内容排泄障害をきたした症例はBouveret症候群と呼ばれている.日本では未だ少数例しか報告されていない.症例は70歳,男性.悪心,嘔吐を主訴に来院した.右季肋部に軽度の圧痛を認めた. 10年前に胆石を指摘されていた.上部消化管内視鏡検査にて十二指腸下降脚部に嵌頓する結石を確認した.内視鏡下の結石除去は不能だったため外科的治療が施行された.手術は結石嵌頓部にて十二指腸切開,結石を除去し閉鎖,胆摘とともに上十二指腸角部に存在した胆嚢十二指腸瘻を一期的に閉鎖した. 2個の結石を摘出し,その最大径は25mmだった.術後,腸閉塞を併発したが保存的に軽快,術後50日で退院となった.本症は稀なBouveret症候群の1例であり,若干の文献的考察を加え報告する.

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