日本臨床外科学会雑誌
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胆嚢管に穿通した結核性リンパ節炎による胆管狭窄の1例
新田 浩幸佐々木 亮孝真島 里絵藤澤 健太郎斎藤 和好上杉 憲幸
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2004 年 65 巻 6 号 p. 1650-1653

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抄録

結核性腹膜炎を伴い,胆嚢管に穿通していた結核性リンパ節炎が原因となった胆管狭窄の1例を経験したので報告する.患者は56歳の女性,右季肋部痛と肝機能障害で入院した.腹部超音波検査と腹部CTで膵頭部頭側に直径4cmの腫瘤と,肝周囲と骨盤腔に腹水を認めた. ERCでは,中部胆管に3cmの狭窄と,狭窄部位から連続して造影される円形の腫瘤を認めた.確定診断は得られなかったが,悪性疾患を否定できず,開腹手術を行った.腹膜全体に広がる粟粒状結節の術中迅速組織診で,結核が疑わしいと診断された.胆管狭窄の原因を胆管に穿通する結核性リンパ節炎と判断し,胆管切除術を行った.結核性リンパ節炎による胆管狭窄の報告は,検索しえた限りでは自験例を含め18例であった.稀ではあるが,念頭におくべき疾患と考えられた.

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