日本臨床外科学会雑誌
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術前MRIにて診断した小児大網嚢腫の1例
岡本 竜弥佐野 薫藤木 真人池田 博斉小笠原 敬三
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キーワード: 小児, 大網嚢腫
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2004 年 65 巻 6 号 p. 1681-1684

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抄録

患児は4歳の男児.間欠的な腹部自発痛と腹部膨満,発熱を主訴に当院受診.受診時超音波検査およびCT検査にて腹腔内巨大嚢胞性疾患と診断.血液,生化学検査にて炎症所見を認めるもその他に目立った所見なく,腹部症状も軽度であることから,入院後保存的に経過観察し,炎症の消退を得た後, MRI検査にてさらに精査した.胃体下部大彎側に連続し,横行結腸を背側に圧排し,骨盤腔まで拡がる内部信号均一な巨大嚢胞性病変を認め,大網嚢腫と術前診断し,開腹手術施行.開腹時,胃壁から連続性に大網内に拡がるリンパ液の貯留した1,300gの嚢胞を認め,胃大彎側漿筋層を含めてこれを切除した.病理組織学的所見は嚢胞性リンパ管腫であった.本症の診断には超音波またはCTが有用であるとされるが,正確な嚢胞の発生部位および嚢胞内容物の性状の診断につき, MRIもまた有用な検査であると考えられた.

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