日本臨床外科学会雑誌
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憩室炎による結腸膀胱瘻の2例 -病悩期間と手術適応について-
塚本 俊輔山本 哲久石沢 武彰薬丸 一洋関川 敬義
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2004 年 65 巻 9 号 p. 2417-2420

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抄録

憩室炎が原因によるS状結腸膀胱瘻の2症例を経験し,病悩期間と手術適応について考察した.症例1は69歳,男性.気尿,糞尿,下痢が出現してから10年間放置していた.糞尿が増悪,排尿時痛も出現したため当科入院となった.術前精査にてS状結腸膀胱瘻と診断しS状結腸部分切除・膀胱部分切除・膀胱瘻切除術を行った.病理所見でもS状結腸から膀胱にかけて瘻孔が確認された.症例2は70歳,男性.下腹部痛が出現し,その後に結腸狭窄症状と糞尿が出現した. S状結腸憩室炎に伴う結腸膀胱瘻および結腸狭窄と診断し,糞尿出現後21日目に直腸S状結腸部分切除術を施行した.手術所見,病理所見にて瘻孔を確認できなかった. 2症例とも,術後再発を認めず外来通院中である.症例1では病悩期間が10年と長期であった.症例2では病悩期間が21日と短く,瘻孔の自然閉鎖が考えられた.

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