日本臨床外科学会雑誌
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腸重積先進部が肛門管直上に達し,術中対応に苦慮したS状結腸癌の1例
今野 理山本 哲久川西 輝貴森田 博義関川 敬義
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2004 年 65 巻 9 号 p. 2431-2434

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抄録

78歳,女性.主訴は下腹部痛・下血.直腸診で肛門縁から約4 cmに直腸粘膜反転とその先端に硬い腫瘍を触知し,腹部CT上の所見と併せ, S状結腸癌の下部直腸内重積によるイレウスと診断した.経肛門的減圧を行ったが症状増悪し,重積が解除されないため手術を施行した.直腸Rs部にS状結腸が重積しており,先進部は肛門管直上にあった.肛門から用指的に重積部位を腹腔内へ押し戻しながらHutchinson手技にて重積を整復したがS状結腸に全層性裂創を認めたため, Hartmann手術を施行した.裂創部筋層には虚血性変化を示唆する菲薄化を認めた.成人の腸重積は比較的稀な疾患であり,術中整復に関して若干の文献的考察を加え報告する.

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