日本臨床外科学会雑誌
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超音波誘導下内瘻術が奏効した膵頭十二指腸切除後の膵液瘻の2例
清水 貞利堀井 勝彦松山 光春玉森 豊中澤 一憲山崎 修
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2005 年 66 巻 1 号 p. 182-186

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抄録
膵頭十二指腸切除後の膵腸吻合部縫合不全は,現在もなお発生頻度の高い合併症である.多くは保存的治療にて治癒するが,腸管との交通が消失した完全外膵液瘻は,難治性である.今回われわれは,膵頭十二指腸切除後の難治性膵液瘻に対して,超音波誘導下内瘻術を行い,治癒しえた2例を経験したので報告する.症例は,胆管癌にて膵頭十二指腸切除術を施行した78歳女性と62歳男性.再建はChild変法で,膵空腸吻合は,膵管挿入法にて行った. 2例とも膵管チューブ抜去後より,膵空腸吻合部ドレーンから膵液の漏出がみられ,瘻孔造影にて,完全外膵液瘻と診断した.保存的治療にて軽快せず,超音波誘導下にドレーン瘻孔より挙上腸管を穿刺し,腸管内にチューブを留置,内瘻術を行った.約3カ月後にチューブを抜去,膵液瘻は閉鎖した.膵頭十二指腸切除後の難治性膵液瘻に対して,超音波誘導下内瘻術は,低侵襲であり,有用な治療手段であると考えられた.
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