日本臨床外科学会雑誌
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後腹膜に発生した巨大な脱分化型脂肪肉腫の1例
植木 智之栗岡 英明細川 洋平榎 泰之
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2005 年 66 巻 10 号 p. 2598-2602

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抄録

高分化型脂肪肉腫の亜分類である脱分化型は,高分化型脂肪肉腫の5%以下と稀な組織型である.今回われわれは,後腹膜に発生した巨大な脱分化型脂肪肉腫に対して,手術切除を行った症例を経験したので報告する.症例は58歳,女性. 2004年腰痛にて近医受診し,腹部エコーにて右側腹部に巨大な腫瘤を指摘される.穿刺吸引細胞診にて間葉系悪性腫瘍との診断を得たため,手術切除を施行した.腫瘍は12×16×8.5cm, 1,120gの充実性の腫瘍であったが高度の中心性壊死を示していた.組織所見では,高分化型脂肪肉腫の部分と短紡錘型細胞が目立ち,悪性線維性組織球腫様所見を呈した充実部分とが認められ,脱分化型脂肪肉腫と診断した.脱分化型脂肪肉腫は,他の組織型に比べて予後不良である.治療の第一選択は他の脂肪肉腫と同じく,外科切除となる.化学療法・放射線療法などの補助療法の有効性は定まったものはない.

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