2005 年 66 巻 5 号 p. 1194-1198
症例は74歳女性.腹痛を主訴に来院した.腹部所見は腹部全体に反跳痛を認め,血液検査で著明な炎症反応を認めた.腹部CT, MRI検査にて,近侯小腸間膜内に4.5×8.0cmの境界不明瞭な腫瘤状病変を認め,小腸腸間膜脂肪織炎と診断した.試験開腹,腹腔鏡も含め手術も考慮したが,保存的治療を継続し徐々に症状は改善し軽快退院となった. 1カ月, 3カ月後の経過観察CTにて腫瘤の縮小を認めた.今回われわれは術前に診断し手術を回避しえた稀な小腸腸間膜脂肪織炎の1例を経験したので報告する.