比較的稀な膵リンパ上皮嚢胞の1例を経験した.症例は77歳,女性.近医にて胸部X線検査で異常を指摘され,当院で精査目的に行った胸腹部CT検査で,膵体部に腫瘤があり入院.腹部CTでは膵体部に境界明瞭な3cm大の腫瘤を認めた.単純,造影ともに低吸収で,被膜と内部の隔壁様構造にやや造影効果を認めた. MRIではT1, T2ともに低信号. EUSでは境界明瞭で内部エコーが不均一な腫瘤であった.血管造影は異常なく, ERPでは主膵管の圧排像のみ認めた.嚢胞性膵疾患で悪性も完全には否定出来ないため,膵尾側切除を施行した.病理結果は膵リンパ上皮嚢胞であった.本邦報告例はほとんどが男性であるが,本症例は女性であり,また検索しえた限りでは最高齢者であった.