日本臨床外科学会雑誌
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乳癌術後に癌性髄膜症単独で再発した1例
田中 覚三好 和裕竹田 幹
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2005 年 66 巻 7 号 p. 1565-1569

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抄録

本邦では稀とされる,乳癌による癌性髄膜症の1例を経験した.症例は40歳,女性. 2002年1月18日,当科にて右乳癌(T3 N2 M0 Stage IIIA)に対して胸筋温存乳房切除術 (Bt+Ax+Ic) を施行し,術後内分泌療法(TAMおよびLH-RH analog),化学療法(CAF療法を6クール施行後5'-DFUR内服)を行っていた. 2004年8月1日より頭痛,後頸部痛が出現し,精査加療目的で入院となった.頭部MRIおよび髄液細胞診にて,癌性髄膜症と診断された.他臓器転移を認めず, Methotrexateの髄腔内投与が施行された.一時的に症状は改善したが,発症から151日目で死亡した.
本邦では,乳癌による癌性髄膜症の報告は, 2004年7月までに自験例を含めて14例であったが,そのうち他臓器転移を認めず癌性髄膜症を単独できたした症例は,自験例を除くと1例のみであった.

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