日本臨床外科学会雑誌
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肝切除術後真菌性眼内炎を併発した肝硬変合併肝細胞癌の1例
吉田 寛真々田 裕宏谷合 信彦古川 清憲秋丸 琥甫田尻 孝
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2005 年 66 巻 7 号 p. 1570-1573

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抄録

肝切除後に真菌性眼内炎を併発し,早期の抗真菌剤投与により症状の改善を認めた肝硬変合併肝細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は68歳,男性で,肝細胞癌の手術目的で入院となった.術前6日に中心静脈カテーテルを挿入して高カロリー輸液を開始し,肝亜区域切除術を施行した.術後食事摂取が不良であったため高カロリー輸液を継続した.第21病日に39.5°Cの発熱を認め,カテーテル感染を疑い抜去した.翌日,解熱傾向を認めたものの,目のかすみ,眼痛などの眼症状が出現した.真菌性眼内炎を疑い,同日fluconazole 200mgの静脈投与を開始した.眼所見は両眼球結膜充血,右眼底白色滲出斑,角膜後面沈着物を認め網脈絡膜炎の状態であったが硝子体は正常であった.以上の所見より真菌性眼内炎と診断した. fluconazoleの静脈投与を継続し, 4週間後には眼底所見改善とともに自覚症状も軽快した.

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