2005 年 66 巻 7 号 p. 1647-1650
腸重積を伴った回腸原発の血管脂肪腫の1例を経験したので報告する.症例は53歳,男性.突然の下腹部痛を主訴に当院を受診した.腹部CT検査で終末回腸から上行結腸にかけてmultiple concentric ring signを,横行結腸内に3cm大のlow densityな腫瘤を認めた.以上から,回腸の脂肪腫が先進した腸重積と診断し,緊急手術を施行した. Hatchinson手技で重積を解除し回盲部切除にて腫瘤を摘出した.切除標本では終末回腸に5cm大の有茎性腫瘍を認めた.病理組織学検査は成熟脂肪組織と毛細血管の増生からなる腫瘍で血管脂肪腫の所見であった.