日本臨床外科学会雑誌
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混合型肝癌4例の検討
池永 直樹阿部 祐治西原 一善松永 浩明中守 真理山本 一郎光山 昌珠
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2006 年 67 巻 1 号 p. 144-151

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抄録

混合型肝癌は原発性肝癌の0.54%を占める稀な疾患で,胆管細胞癌に類似した進展形式をとり予後不良とされている.当院では1979年から2004年の間に423例の原発性肝癌に対して肝切除を行い,そのうち4例(0.95%)が混合型肝癌と診断された.平均年齢67.5歳,男女比3:1で4例中3例が腫瘍最大径5cm以上であり, HBs抗原陰性, HCV抗体陰性のものが2例, HCV抗体陽性が1例, HBs抗原陽性が1例であった.術前診断は画像所見,腫瘍マーカーなどより2例で混合型肝癌を疑い,残りの2例は肝細胞癌であった.それぞれ術後5カ月後死亡, 3年8カ月後死亡, 1年10カ月後死亡, 5カ月後生存,と予後は不良であった.再発形式はリンパ節,肝,骨,肺,心などであり,残肝再発に対しては,従来の肝動注化学療法や肝動脈化学塞栓療法がやや有効であった.

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