日本臨床外科学会雑誌
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冠動脈バイパス術後,右開胸下に人工弁置換術を施行した虚血性僧帽弁閉鎖不全症の1例
徳田 貴則村上 貴志小山 裕黒木 慶一郎
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2006 年 67 巻 2 号 p. 311-315

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抄録

冠動脈バイパス術 (CABG) 後の虚血性心筋症に伴う僧帽弁閉鎖不全症に対して,右開胸アプローチより僧帽弁置換術を行い,良好な結果を得たので報告する.症例はCABGおよび経皮的冠動脈形成術の既往のある70歳,男性. NYHAIV度の心不全にて再入院となった.冠動脈造影ではグラフトの開存が確認されたが,心エコー上mitralleaflet tetheringがみられ,虚血性僧帽弁閉鎖不全症 (IMR) と診断された.手術は右開胸アプローチより行った.右上腕動脈と右大腿動脈に送血管を,右大腿静脈より右心房に脱血管を挿入し,人工心肺を確立した.中等度低体温下にペーシング付スワンガンツカテーテルにて心室細動を誘発し,生体弁による僧帽弁置換術 (MVR) を施行し,経過は良好であった. CABG後のIMRに対して,右開胸アプローチによるMVRは,比較的安全で容易な方法であると考えられた.

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