日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
後腹膜膿瘍と多発性肝転移を伴った原発性虫垂癌の1例
小橋 俊彦板本 敏行米原 修治山崎 浩之池田 聡浅原 利正
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 67 巻 4 号 p. 825-828

詳細
抄録

55歳,女性,発熱,右側腹部痛および下痢を主訴に来院した.腹部US, CTにて右後腹膜膿瘍と多発性肝腫瘍を認め,血液検査上,強い炎症所見とCEA高値を伴っていた.腫瘍穿孔による膿瘍形成と肝転移を強く疑い,緊急に結腸右半切除術および膿瘍部ドレナージを施行した.術後病理所見から虫垂癌穿孔による後腹膜膿瘍と診断した.術後経過は順調であったが,退院後CEAが急激に上昇し, US, CTにて肝腫瘍の増大と腹腔内再発を認めたため,二期的肝切除予定から化学療法へ治療方針を変更し, FOLFIRI療法を開始し継続中である.術後6カ月の現在,腫瘍は縮小傾向にあり,腫瘍マーカーも著明に低下している.今回穿孔をきたし後腹膜膿瘍を形成した虫垂癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top