日本臨床外科学会雑誌
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精神・神経疾患に合併した結腸軸捻転症の4手術例
瑞木 亨近藤 泰雄斉藤 心志村 国彦安田 是和永井 秀雄
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2006 年 67 巻 4 号 p. 829-833

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抄録

精神・神経疾患に合併した結腸軸捻転の3症例における4手術例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.症例のうち2例は統合失調症患者で, 1例はてんかんと精神発達遅滞を有していた. 1例はS状結腸軸捻転症で巨大結腸症が背景にあり, S状結腸切除術を施行した6カ月後に右側結腸軸捻転症を発症した.全例に大腸内視鏡による減圧を行い,緊急手術を回避しえた.病理所見では切除した腸管に神経叢の異常所見は認めなかった.結腸軸捻転症は本邦では腸管閉塞の原因としては稀である.しかし,精神・神経疾患を有する患者では結腸軸捻転や巨大結腸症を合併することが多く,意思疎通が困難な症例では診断が遅れることがある.さらに,巨大結腸症患者に発症した結腸軸捻転症に対して結腸の部分切除を行うと軸捻転の再発率が高いため,症例ごとに適切な術式を検討する必要がある.

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