日本臨床外科学会雑誌
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薬物療法後の感染性肝嚢胞に対して腹腔鏡下手術が有効であった1例
植木 智之谷口 史洋加藤 雅也栗岡 英明榎 泰之加藤 元一
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2006 年 67 巻 4 号 p. 865-869

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抄録
症例は81歳,女性. 2000年肝嚢胞に対して薬物注入療法を施行された. 2004年発熱および右季肋部痛を認め外来受診した.腹部エコー検査上,肝嚢胞内部にdebrisの貯留を認め,感染性肝嚢胞と診断し,入院となったが,内科的治療が奏効せず,外科転科となった.転科後,腹腔鏡下にLiga Sure Atlas®を用いて天蓋切除術を施行した.嚢胞造影にて胆道との交通は認めなかった.起因菌はKlebsiella pneumoniaであり,感染経路は頻回に行われた嚢胞穿刺によるものと考えられた.術後,感染性嚢胞液が貯留したためドレナージを施行したが,著明な合併症なく退院となった.薬物注入療法後に発症し,その後の内科的治療に難治性の感染性肝嚢胞に対して腹腔鏡下天蓋切除術が有効であった1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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