抄録
症例は85歳,女性で, 2005年11月にS状結腸穿孔による汎発性腹膜炎の診断で穿孔部縫縮術および腹腔ドレナージ術を施行した.ドレーンは左右横隔膜下,ダグラス窩に留置した.左横隔膜下に留置したドレーンより膿汁の排出があったため長期留置していたが,術後24日目に突然の胸痛と呼吸困難感が出現し,ドレーンより多量の排液を認めた.胸部レントゲンにて左気胸を認め,胸腔ドレナージを施行した.ドレーンの胸腔内への突出およびドレーン内排液の呼吸性移動から,気胸の原因は留置ドレーンによる横隔膜穿孔が疑われた.瘻孔造影および胸部CTにて造影剤は胸腔内に流入しているのを確認し,確定診断を得た.
ドレーンによる臓器損傷は消化管が多く,横隔膜損傷による気胸の発症は非常に稀である.原因として炎症による組織の脆弱が考えられたが,ドレーン留置による合併症も念頭においてドレーン管理をすべきであると思われた.