臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
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症例
ALL患児のMethotrexate外来治療後の血中濃度低下遅延例
畑江 芳郎畑山 由起子西 基村上 智明信本 和美中舘 尚也飯塚 進武田 武夫和田 育男
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1991 年 32 巻 11 号 p. 1503-1508

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抄録
メソトレキセート(以下MTX)は小児悪性腫瘍領域において急性白血病や悪性リンパ腫などに広く使われ,キー・ドラッグの一つと考えられている。大量MTX (HD-MTX)·ロイコボリン救助療法を使用する治療法はこれらの悪性疾患児に対して効果的な化学療法である。中等量のMTX (225 mg/m2)は維持療法の一環として外来にて静注される。この量は安全であるといわれている。しかしわれわれはこの療法後,強い副作用を呈したT.H.およびM.Y.の2例を経験した。両者において急性腎不全・骨髄抑制・口のまわりや肛門周囲のびらん・がんこな下痢などが臨床症状としてみられた。MTXの血中濃度から判断すると,患児T.H.は9.6日間,患児M.Y.は6.5日間MTX濃度の危険域にさらされていたものと思われた。これらの事実はHD-MTX以外のMTXを使用する治療法においても,その後の臨床症状に十分に注意をはらわなければならないことを示唆するものである。
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© 1991 一般社団法人 日本血液学会
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