臨床血液
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臨床研究
Dダイマー(安定化フィブリン分解産物)迅速定量法の臨床的有用性に関する検討
高橋 芳右和田 研滝沢 慎一郎櫻井 錠治花野 政晴庭野 裕恵帯刀 亘柴田 昭
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1991 年 32 巻 12 号 p. 1533-1539

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抄録

最近開発されたラテックス近赤外比濁法による迅速Dダイマー定量法(エルピアエースD-Dダイマー)により,血漿Dダイマーを各種疾患患者で測定し,生体内フィブリン分解の有無と程度を解析した。健常人に比し多くの疾患で血漿Dダイマーが上昇していたが,播種性血管内凝固症候群,次いで血液腫瘍性疾患,肝疾患,血栓性疾患でその上昇が著明であった。血漿Dダイマー値はプラスミン-α2-プラスミンインヒビター複合体およびトロンビン-アンチトロンビンIII複合体と正相関した。ウロキナーゼまたは組織プラスミノゲンアクチベーターによる線溶療法前後のDダイマー値も本法により正確にモニターできた。以上,多くの臨床病態でフィブリン分解が起こっていることが認められ,また本法は従来の肉眼的ラテックス凝集観察法に比しより正確なDダイマー測定法として,種々の臨床病態での線溶動態解析に有用と考えられた。

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© 1991 一般社団法人 日本血液学会
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