臨床血液
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症例
der (15)およびder (20)を認め,好中球数の著増を伴った真性赤血球増加症
田中 暁横田 良司望月 敏弘直川 匡晴前田 明則伊藤 忠弘
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1991 年 32 巻 12 号 p. 1547-1551

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抄録

特異な染色体異常を認め,好中球数の著増を伴った真性赤血球増加症の1剖検例を報告した。症例は87歳の男性で,1987年8月,腹痛を主訴として来院した。本症例はThe Polycytemia Vera Study Groupの診断基準を充たし,血清エリスロポエチンは低値であった。本症例では骨髄抑制剤の投与をおこなわなかったが,2回の骨髄細胞染色体分析で,46, XY, -15, -20, +der (15) t(15;?)(q13-15;?), +der (20) t(20;?)(q11;?)を認め,クローン性染色体異常と判定した。好中球数は40,000∼60,000/μlの高値で推移したが,末期には91,971/μlと著増した。Rh1染色体は陰性で,bcr再構成を認めなかった。気管支肺炎により死亡したが,剖検所見では骨髄線維化を認めず,新鮮梗塞を伴う脾腫を認めた。肝脾などの諸臓器に白血病細胞の浸潤を認めなかった。

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© 1991 一般社団法人 日本血液学会
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