臨床血液
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症例
IgG, κ型細胞質内免疫グロブリン陽性Burkitt's Lymphomaの1例
—症例報告ならびに本邦既報告例との比較検討—
津田 忠昭久野 忠治清水 映二辻本 真人岡本 幸春大田 喜一郎前田 次郎
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1991 年 32 巻 12 号 p. 1552-1557

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抄録

52歳,男性。腹部腫瘤のため入院。骨髄検査で26%に芽球があり,形態はFAB分類L3に一致した。腹部腫瘤を摘出,組織像はmalignant lymphoma, small non-cleaved cell, Burkitt'sであった。摘出腫瘤の細胞を培養し,細胞株を樹立した。元の腫瘍細胞および細胞株の検索より,細胞EBNA, EBV DNAはともに陰性,染色体はt(8;14)(q24;q32)であった。細胞表面抗原はHLA-DR, CD19およびCD20陽性,CD10陰性。細胞表面免疫グロブリン(Ig), 細胞質内Igともに単クローン性(IgG, κ型)を示した。このように本リンパ腫は成熟B細胞由来であった。本邦でバーキットリンパ腫として報告された216例の臨床病理所見を分析した。細胞EBNA検索35例中7例(20%)はEBNA陽性。腫瘍細胞表面Ig検索86例のうち67例はIgMのみを,10例はIgGのみを示した。腫瘍細胞の細胞質内Igは61%の症例で陽性であった。細胞質内Ig陽性11例のうち,IgMは8例に認められ,IgG陽性は本症例のみであった。

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© 1991 一般社団法人 日本血液学会
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