臨床血液
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症例
起立性紫斑病の2例
沢田 美彦工藤 育男金沢 鉄男相原 守夫吉田 豊木村 あさの千葉 陽一
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1991 年 32 巻 12 号 p. 1569-1573

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抄録

長時間の立位保持により下肢に広範な皮下出血が生じる起立性紫斑病の2例を報告した。症例1: 47歳,男性。2年前から長時間の立位,座位の後に下肢に皮下出血が出現。立位歩行の後には出血斑は出現しない。出血時間,凝固線溶系,皮膚生検で異常なし。薬剤による血小板機能障害を合併していたが,中止後も同様の出血が続き起立性紫斑病と診断した。症例2: 37歳,女性。3年前から立位での仕事の後に下腿の浮腫と皮下出血があった。長時間での歩行では皮下出血はない。出血時間,凝固線溶系,下肢血管造影,皮膚生検で異常なし。圧迫ストッキングを着け3時間立位負荷後には皮下出血はみられず,ストッキングなしで立位負荷すると多数の皮下出血斑が出現し,1例において圧迫ストッキングが有効であることが確認された。起立性紫斑病は立位保持により血流が停滞し,血管内圧が上昇する結果,血液が血管外へ漏出するために生ずるものと考えられた。

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© 1991 一般社団法人 日本血液学会
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