臨床血液
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総説講演I
可溶性トロンボモジュリン
風間 睦美
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1991 年 32 巻 2 号 p. 103-107

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抄録

培養ヒト臍帯静脈内皮細胞にモネンシン,トロンビン,線維芽細胞増殖因子,IL-1あるいはエンドトキシンを加えても,上清中にトロンボモジュリン(TM)の放出は認められなかったが,過酸化水素あるいはエンドトキシンで活性化した白血球を加えると,内皮細胞内のTMは減少し,上清中にTMおよび51Crが増加した。この増加はメシル酸ガベキセートあるいはSODによって抑制された。この成績からTMは内皮細胞の障害に際して遊離されると結論された。
各種疾患での血中TMを測定すると,DICの極期には有意に増加し,改善例では低下することが認められ,またSLE, 川崎病,血管障害を伴う糖尿病でも有意の高値が認められて,これら疾患での血管障害が血中TMの増加に反映されると考えられた。一方腎不全でも血中TMの著増,尿中TMの排泄減少が認められ,循環血中よりのTMの除去に腎が関与することが想定された。

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© 1991 一般社団法人 日本血液学会
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