抄録
48例の急性非リンパ性白血病(ANLL)および骨髄異形成性症候群(MDS)にAra-C少量療法を行い治療効果を検討した。Ara-Cは10 mg/m2または10 mg/bodyを12時間ごとに皮下注射した。完全寛解は16例(33%), 部分寛解は6例(13%)に得られた。病型別では低形成性白血病において8例中7例に寛解が得られたが,MDSおよびそれより移行の白血病では有効でなかった。また,既治療ANLLでは20%の寛解率であった。寛解期間は3∼20カ月(中央値7カ月)で,特に自己注射にて維持療法を行った症例に寛解期間の延長がみられた。再発は13例にみられた。50%生存期間は初回治療例では有効例(CR+PR)で24.3カ月,無効例で3.3カ月,既治療例ではそれぞれ18.7カ月,5.3カ月であった。以上より高齢者ANLL特に低形成性白血病に対してAra-C少量療法は極めて有用と考えられた。また,自己注射による維持療法により寛解期間の延長が期待された。