臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
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臨床研究
急性非リンパ性白血病およびMDSに対するAra-C少量療法の臨床効果
—適応病型と維持療法の検討—
金森 平和丸田 壱郎府川 仁哉原野 浩児玉 文雄宮下 裕子松崎 道男野口 太平村田 興橋本 佳巳小川 浩司本村 茂樹毛利 博大久保 隆男
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1991 年 32 巻 2 号 p. 108-114

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抄録
48例の急性非リンパ性白血病(ANLL)および骨髄異形成性症候群(MDS)にAra-C少量療法を行い治療効果を検討した。Ara-Cは10 mg/m2または10 mg/bodyを12時間ごとに皮下注射した。完全寛解は16例(33%), 部分寛解は6例(13%)に得られた。病型別では低形成性白血病において8例中7例に寛解が得られたが,MDSおよびそれより移行の白血病では有効でなかった。また,既治療ANLLでは20%の寛解率であった。寛解期間は3∼20カ月(中央値7カ月)で,特に自己注射にて維持療法を行った症例に寛解期間の延長がみられた。再発は13例にみられた。50%生存期間は初回治療例では有効例(CR+PR)で24.3カ月,無効例で3.3カ月,既治療例ではそれぞれ18.7カ月,5.3カ月であった。以上より高齢者ANLL特に低形成性白血病に対してAra-C少量療法は極めて有用と考えられた。また,自己注射による維持療法により寛解期間の延長が期待された。
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© 1991 一般社団法人 日本血液学会
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