抄録
症例は9歳男児,頚部リンパ節腫大を主訴に静岡県立こども病院に入院した。末梢血の赤血球数,血小板数は正常,白血球数は2,700/μlで芽球は認めなかった。骨髄細胞数は正常だが芽球を34%認めた。頚部リンパ節生検の結果non-Hodgkin's lymphoma (lymphoblastic type)と診断された。
腫瘍細胞の表面マーカーはCD5, CD7, CD19, CD38, CD71, Ia抗原陽性,染色体分析では46, XY, t(7;14)(p15;q32)であった。腫瘍細胞の遺伝子解析の結果,免疫グロブリンH鎖,TcRβ, TcRγは胚芽型であったが,TcRδの再構成を認めた。
CD7, CD19はlineageの特異性に問題があり,かつTcRδ遺伝子はリンパ球分化の極初期再構成を起こすことより,本腫瘍はリンパ球の幼弱な分化段階での腫瘍化した可能性が考えられた。