臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例
A型肝炎経過中に急性赤芽球癆と偽性血小板減少症をきたした1例
友成 章平井 和代青木 秀俊美馬 伸章柏木 節子増田 和彦篠原 正幸小阪 昌明
著者情報
ジャーナル 認証あり

1991 年 32 巻 2 号 p. 147-151

詳細
抄録

50歳,女。入院5日前に発熱,食欲不振あり,肝2横指触知され,T. Bil 4.5mg/dl, GOT 2,734, GOT 3,490U/l, IgM-HA抗体陽性でA型肝炎と診断され入院。末梢血Hb 12.8g/dl, RBC 421万/μl, WBC 5,400/μl, PLT 8.7万/μl。22日後Hb 8.0g/dl, RBC 271万/μl, 網赤血球1‰に減少,WBC 4,600/μl, PLT 19.6万/μlは著変なく,クームス試験(-)。骨髄有核細胞数13.8万/μlでM/E比5.32と著明な赤芽球系低形成があり,前赤芽球7.6%, 好塩基性赤芽球5.0%と未熟な赤芽球は残存し,多染・正染性赤芽球は認めず,赤芽球系のmaturation arrestを示すPRCAと考えた。入院35日後,網赤血球と骨髄の成熟赤芽球の増加とともにHbの増加をみた。またPRCA診断時の血清はBFU-Eコロニー形成の抑制作用を示し,造血を抑制する何らかの液性因子の存在が考えられた。その後EDTA依存性偽性血小板減少症も発生。A型肝炎後にPRCAと偽性血小板減少症をきたした非常にまれな例である。

著者関連情報
© 1991 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top