1991 年 32 巻 4 号 p. 399-403
症例は78歳,男性。腰痛と胸部痛を主訴として来院した。現病歴および検査所見より非分泌型原発性形質細胞性白血病と診断された。しかし骨髄細胞のPFC assayでは単クローン性免疫グロブリンの分泌が証明された。また血清アンモニアの高値を伴っていた。4コースの多剤併用療法(ビンクリスチン,アドリアマイシン,サイクロホスファマイド,メチルプレドニゾロン)にもかかわらず,患者は診断後5カ月で肺炎にて死亡した。剖検で広範な骨髄腫の浸潤がみられた。最近,多発性骨髄腫に高アンモニア血症を伴う症例の報告が散見されるが,本例は,骨髄腫細胞の肝浸潤が高アンモニア血症の原因と思われた。