抄録
患者は41歳,女性。1983年7月,白血球増多を指摘され当科初回入院。白血球数は14,600/μlでATL細胞は59%で,軽度の脾腫を認めた。抗HTLV-I抗体は陽性,ATL細胞のHTLV-I proviral DNAは欠損型であった。染色体検査では47, xx, +4であった。慢性型ATLとして無治療のまま,外来経過観察とした。その後,白血球数は6,000∼10,000/μlでATL細胞は3∼6%と減少し,これが8カ月間持続した。1985年5月,白血球は32,200/μl, ATL細胞は57%と増加し,扁桃と頚部リンパ節が腫大した。proviral DNAや染色体検査は前回と同様の結果であった。ATL急性転化型と診断し,全身放射線療法で治療したが,3カ月後,頻回の下痢が出現し死亡した。剖検では小腸の広範囲にATL細胞の浸潤を認めた。本例はproviral DNAや染色体検査の結果から,同一のATLクローンが増減をくりかえしたものと思われた。