1991 年 32 巻 9 号 p. 938-944
ITPに対するγ-グロブリン大量投与(IVIG)は,著明な血小板数増加を引き起こしうるが,たいていは,すぐに治療前の血小板数まで戻ってしまう。そこで,ITPに対するIVIG後の免疫抑制剤療法による血小板数維持効果について検討した。35例のITPに対しIVIG治療を行い,そのうち32例に対して,引き続いてプレドニソロン(PSL)あるいはアザチオプリン(AZP)を投与した。IVIG後,血小板数は有意に増加した。IVIG後の免疫抑制剤療法に関しては,多くの場合,血小板数が維持される傾向がみられた。特にこの効果は,前治療としてのPSLに対する反応性がみられた症例において有意であった。一方,PSLに対する反応性がみられなかった症例では,血小板数は維持されなかった。IVIG後にPSLを投与した場合,血小板数維持効果は,PSLの用量依存性であった。IVIG後にPSLやAZPを投与するのは,血小板数維持効果において有用と考えられた。