臨床血液
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臨床研究
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対するγ-グロブリン大量投与後の後治療の効果について
安永 幸二郎粉川 皓年藤竹 英樹野村 昌作陰山 克大藪 博巽 典之任 太性朴 勤植川越 裕也吉岡 慶一郎堀内 篤入交 清博椿 和央小中 義照木谷 照夫正岡 徹手島 博文米沢 毅椿尾 忠博倉田 義之高橋 豊赤坂 清司星崎 東明
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1991 年 32 巻 9 号 p. 938-944

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抄録

ITPに対するγ-グロブリン大量投与(IVIG)は,著明な血小板数増加を引き起こしうるが,たいていは,すぐに治療前の血小板数まで戻ってしまう。そこで,ITPに対するIVIG後の免疫抑制剤療法による血小板数維持効果について検討した。35例のITPに対しIVIG治療を行い,そのうち32例に対して,引き続いてプレドニソロン(PSL)あるいはアザチオプリン(AZP)を投与した。IVIG後,血小板数は有意に増加した。IVIG後の免疫抑制剤療法に関しては,多くの場合,血小板数が維持される傾向がみられた。特にこの効果は,前治療としてのPSLに対する反応性がみられた症例において有意であった。一方,PSLに対する反応性がみられなかった症例では,血小板数は維持されなかった。IVIG後にPSLを投与した場合,血小板数維持効果は,PSLの用量依存性であった。IVIG後にPSLやAZPを投与するのは,血小板数維持効果において有用と考えられた。

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© 1991 一般社団法人 日本血液学会
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