臨床血液
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臨床研究
血小板無力症のFlow cytometryを用いた検討
木下 清二吉岡 慶一郎新堂 隆人笠原 素子田中 恒二
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1991 年 32 巻 9 号 p. 951-957

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抄録

血小板無力症患者9家系10症例(type I 7例,type II 3例)およびその家族18例(両親11例,同胞6例,子供1例)の血小板膜GPIIbIIIaを3種類の市販FITC標識モノクロナール抗体(PLT1, TP80, P2)を用いflow cytometryにて測定した。GPIIbIIIa量はmean channel値より正常血小板を100%として算出した。type I 6例では血小板膜GPIIbIIIaは正常の19%以下への低下が見られた。1例はTP 80でのみ46.5%の高値を示した。type IIではtype I同様低値を示すもの1例,TP 80で30.9%, P 2で28.2%を示すもの1例,ほかの1例は抗体の種類に関係なく常に正常値を示しvariant症例と考えられた。本症type Iの両親は正常人対照に比し低値を示し,同胞2例が保因者と診断された。血小板無力症は予想されたよりもheterogeneityの多い疾患であり,flow cytometry法は本症variant症例の診断,またtype I症例の保因者診断に簡便で有用な方法と考えられた。

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© 1991 一般社団法人 日本血液学会
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