1991 年 32 巻 9 号 p. 958-963
23歳女性。主訴;四肢の点状毛細血管拡張と過多月経。1983年,手掌に赤色点状皮疹が出現し,四肢,躯幹に広がる。1987年下血,血尿,抜歯後の止血困難,長時間歩行後の下腿の赤紫色の変色があった。頻回の鼻出血が兄と父方の従兄弟に認められた。出血時間延長,APTT延長,vWf: Ag低下,F VIII: Ag低下,F VIII: c低下,毛細血管抵抗減弱,Rcof正常下限,血小板粘着能低下,F VIIIプロファイル;multimetric compositionは正常,抗原低下。血小板凝集能はristocetin, collagenで低下する時があった。本例をOsler病にvon Willebrand病type Iを合併していると診断した。今までに同様の合併例が28例(8家系)ある。vW因子は血管内皮細胞で産生され,Osler病でみられる血管内皮障害は,vW因子に異常を引き起こす可能性を推測させる。この場合,二次的なvon Willebrand病といえる。von Willebrand病以外の出血凝固疾患を合併している報告もあり呈示した。