臨床血液
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症例
風疹罹患後にIBL型病変を認めた1例
近藤 英樹岡川 和人武市 俊彰林 正河内 康憲斎藤 史郎佐野 寿昭香川 典子白神 〓
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1991 年 32 巻 9 号 p. 976-980

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抄録

患者は52歳,女。37°C台の発熱と全身の淡紅色の小斑状疹,有痛性の頸部リンパ節腫脹で発症。約1週間で皮疹は消失したが,全身に小豆大から3 cm大のリンパ節腫脹が認められるようになり,四肢遠位部に点状出血を認めた。肝・脾腫も認めた。赤沈45 mm/h, Hb 10.0 g/dl, RBC 345万/μl, WBC 22,600/μl(異型リンパ球47.0%, CD 8, HLA-DR陽性),PLT 1万/μl, GPT 91 U/L, γ-globulin 34.3%, EBV-VCA (IgG)×2560, EBNA×20, 抗風疹ウィルス抗体×512と陽性であった。リンパ節生検で,リンパ節基本構造の破壊,樹枝状血管の増生,immunoblastの増殖がみられIBL型病変と診断した。methylprednisoloneのパルス療法とγ-globulin大量(20 g×6日)療法によりリンパ節腫脹の消失,血小板と網状赤血球の増加がみられ,病態は改善した。本例は,ウィルス感染に伴う腫瘍性格の明確でないIBL型病変を,より良性な“真のIBL”との関連で検討し,またIBLの発症機序を検討するうえに貴重である。

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© 1991 一般社団法人 日本血液学会
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