臨床血液
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症例
著明な骨髄壊死が先行した急性骨髄性白血病の1小児例
杉山 ひろみ中畑 龍俊久保 徹夫菊地 俊実天野 芳郎奥村 伸生小宮山 淳
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1991 年 32 巻 9 号 p. 991-995

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抄録

症例は3歳男児。1989年10月,発熱,腹痛,全身の骨痛を主訴に入院。入院時,血液検査ではHb 8.7 g/dl, WBC 5,300/μl(好中球9%),血小板5.5×104lを示した。生化学検査では,CRP, LDH, FDP, FDP-Ddimer, Fibrinogenが異常高値を示した。骨髄穿刺および生検で著明な壊死状態を認めた。また,Tc99mによる骨シンチでは全身骨にびまん性の異常集積を認めた。3週間後,臨床症状は消失したが,貧血のみが持続していた。骨髄壊死より2カ月経過した同年12月,骨髄穿刺にて白血病細胞を認めAML (M3)と診断され,化学療法は開始された。現在治療中である。本症例は,骨髄壊死にともない,急性期蛋白やFDP, FDP-Ddimerなどの著明な上昇を認めており,病態を考える上で興味深い。

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© 1991 一般社団法人 日本血液学会
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