臨床血液
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症例
Aclarubicin少量療法が著効した低形成性白血病の1例
豊田 英嗣大槻 剛巳神山 憲王福島 達夫白戸 りさ神崎 暁郎山田 治八幡 義人
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1991 年 32 巻 9 号 p. 996-1000

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抄録

Aclarubicin (ACR)少量療法は,骨髄異形成症候群や非定型白血病に対して,cytosine arabinoside少量療法や,活性型vitamin D3, retinoic acidなどとともに,分化誘導療法として注目されている化学療法である。今回,低形成性白血病例に対し,ACR少量療法を試み,良好な臨床的効果を認めたので報告する。症例は,36歳,女性。全身倦怠感を主訴に入院。末梢血検査にて,汎血球減少症と23%の骨髄芽球を認め,骨髄穿刺では,有核細胞の35.4%に骨髄芽球を認めるも,低形成性骨髄であり,低形成性白血病(急性骨髄性白血病型)と診断した。ACR少量療法(20 mg/日,10日間one shot静注)にて,末梢血中の骨髄芽球の消失,汎血球減少症の改善がみられ,骨髄穿刺では有核細胞数の増加を伴い,完全寛解と判定された。その後再度同療法を施行後,地固め強化療法を継続,現在も完全寛解を維持している。症例の概要を報告するとともに,本例におけるACR少量療法の作用機序を考察する。

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© 1991 一般社団法人 日本血液学会
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