臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
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症例
β-spectrin異常を呈する遺伝性楕円赤血球症の一家系
伊従 秀章小林 尚明藤沢 康司赤塚 順一中村 弘典三島 健神崎 暁郎和田 秀穂阿多 雄之山田 治八幡 義人
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ジャーナル 認証あり

1992 年 33 巻 2 号 p. 167-172

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抄録
遺伝性楕円赤血球症(以下HEと略)は,一般に赤血球の膜蛋白骨格の異常に起因すると考えられているが,β鎖の異常の報告例は数少ない。今回著者らは,HEの母児にβ spectrin異常の新しいタイプを認めたので報告する。発端者は8カ月の女児。入院時軽度の貧血と網状赤血球の増加,ハプトグロビン低下を認めた。発端者および母親の末梢血塗抹標本で楕円赤血球を認めHEと診断した。本症例の赤血球膜蛋白の分析をSDS-PAGEで行ったところ,母児ともにspectrin鎖直下に異常bandを認めた。さらに母親について詳細な検討を行ったところ,この異常bandはβ spectrinで,分子量は216,000 dであり,β spectrinの16%に相当していることが判明した。さらに,本症例ではspectrinの重合能の異常を認め,spectrin αの異常を合併していることが判明した。本症例の遺伝形式は常染色体優性遺伝で,従来報告されているβ spectrin異常症とは異なった疾患であると考えられた。
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© 1992 一般社団法人 日本血液学会
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