形質細胞増多症には形質細胞自身が増殖するものと形質細胞への分化促進により形質細胞が増多するものに大別される。形質細胞の増殖機構はその腫瘍性疾患である骨髄腫の骨髄腫細胞の増殖がインターロイキン6 (IL-6)で促進されることが明らかとなり次第に解明されつつある。さらに骨髄腫細胞から産生されるIL-1βが破骨細胞刺激因子として骨融解病変に密接に関与していることも明らかとなった。このように,形質細胞の増殖および機能にサイトカインが重要な働きをしている。しかし,骨髄腫細胞は均一な細胞集団ではなく実際にIL-6により増殖している細胞は一部でありほかの細胞は非増殖細胞集団である。このような不均一性は接着分子の発現の相違により前駆(未熟)細胞と成熟骨髄腫細胞の存在を同定することにより明らかにされつつある。したがって,形質細胞増殖性疾患特に骨髄腫の病態を考えるに,サイトカイン活性の動態とともに前駆骨髄腫細胞と成熟骨髄腫細胞の動態を把握することが重要である。