臨床血液
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症例
白質脳症に高気圧酸素療法が有効であった小児急性リンパ性白血病の1例
金蔵 章子嶽崎 俊郎川上 清
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1992 年 33 巻 9 号 p. 1221-1225

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抄録

白質脳症を伴った急性リンパ性白血病(ALL)の患児に高気圧酸素療法(OHP)を施行し,著明な臨床症状の改善が得られたので報告した。症例は6歳の女児で,1年9カ月前にALLと診断され,化学療法を続けていた。初回中枢神経(CNS)再発後MTX髄注,放射線療法にてCNS寛解となるも,2回目のCNS再発のため入院。メソトレキセートを1週間に1回の頻度で髄注した後より,意識障害,手指の振戦が認められた。意識障害は2週間続き,頭部のmagnetic resonance imaging (MRI)検査で,白質にび慢性に強信号領域が見られ,器質的変化が疑われた。患児にOHPを施行したところ,3日目より改善が認められ,10日後には神経症状は完全に回復した。白質脳症の治療にOHPを用いた試みはこれまで報告がなく,今後白質脳症に対する初期治療として本療法は試みる価値があると考えられた。

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© 1992 一般社団法人 日本血液学会
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