臨床血液
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症例
不明熱で発症し,骨髄に肉芽腫形成が認められたHodgkin病の1例
新井 望原 明博梅田 正法白井 達男
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1992 年 33 巻 9 号 p. 1252-1256

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抄録

症例は73歳男性。18カ月続く発熱の精査目的にて1990年4月30日当院入院となった。入院時表在リンパ節および肝脾触知せず,白血球数増加と貧血を認めたため,骨髄穿刺および生検を施行した。その結果,骨髄生検像にて非特異性肉芽腫像を認め,5月10日頃より肝脾腫および左頸部リンパ節腫脹が出現したためリンパ節生検施行。Hodgkin病と診断し,5月20日よりCHOP療法を施行するも間質性肺炎を併発し7月3日永眠す。本症例は,不明熱で発症し骨髄生検にて組織球を中心とした肉芽腫を認め,その後にリンパ節が腫脹し生検にてHodgkin病と診断された症例である。悪性リンパ腫は,骨髄,肝,脾などに肉芽腫形成を認めることがあるが,ほとんどが進行例である。しかし本症例のようにリンパ節腫脹,肝脾腫などを認めないうちから骨髄に肉芽腫を形成する症例もあるため注意が必要と思われた。

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© 1992 一般社団法人 日本血液学会
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