臨床血液
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臨床研究
同種骨髄移植後に合併した胸部異常陰影の鑑別診断におけるサイトメガロウイルス抗原検索の有用性
権藤 久司原田 実根峰松 俊夫赤司 浩一林 真谷口 修一山崎 和夫渋谷 恒文高松 泰衛藤 徹也長藤 宏司水野 晋一南嶋 洋一仁保 喜之
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1993 年 34 巻 11 号 p. 1438-1444

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抄録

同種骨髄移植後に合併した胸部異常陰影の鑑別診断におけるサイトメガロウイルス(CMV)抗原検索の有用性について検討した。移植後9日より495日の間に出現し,診断が確定した胸部異常陰影の9エピソード(7症例)を対象とした。CMV抗原検索はCMVの前初期抗原を認識するモノクローナル抗体(HRP-C7)を用いた直接免疫ペルオキシダーゼ法により行った。胸部異常陰影は病因微生物検査や臨床経過よりCMV肺炎,カリニ肺炎,アデノウイルス肺炎,細菌性肺炎,真菌・細菌性肺炎,特発性間質性肺炎,急性GVHDに伴うcapillary leak syndromeと診断した。胸部異常陰影出現時のCMV抗原血症はCMV肺炎の2症例にのみ陽性で,いずれも10/50,000白血球数以上の陽性細胞を認めた。検査結果は24時間以内に得られた。ほかの疾患ではCMV抗原血症は陰性であった。CMV抗原血症検査は胸部異常陰影とCMV感染との関連を知り,治療方針の決定をする上で有用と考えられた。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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