臨床血液
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症例
原発性マクログロブリン血症の治療開始後,急速に進展したpolyneuropathyの1例
藤原 俊文高木 省治郎齊藤 智彦植木 彰
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1993 年 34 巻 11 号 p. 1452-1457

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抄録

急性発症の脱髄性末梢神経障害を呈した原発性マクログロブリン血症(WM) IgMκ型の1例を報告した。49歳,女性。血液過粘稠による意識消失発作にて発症,FCOP療法により意識消失発作消失,M蛋白,血液粘稠度の低下をみたが,同時期より急速に四肢末梢に筋力低下,筋萎縮が出現してきた。知覚障害はなかった。ビンクリスチンの投与を中止したが症状は進行した。神経伝達速度は運動,知覚神経ともに著明に低下していた。腓腹神経生検では有髄神経繊維密度の低下,onion bulb形成を認め,脱髄性変化を主とするWM neuropathyに合致していたが,髄鞘にはIgMの沈着はなく,また血清IgMの抗MAG活性は陰性であった。筋力は血漿交換療法直後より改善し正常化したが,神経伝導速度は不変であった。WM neuropathyはその多くは緩徐進行性の経過をとり本例のごとく運動障害主体でかつ急速な進展を示し,症状の回復した例は極めてまれである。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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