1993 年 34 巻 11 号 p. 1458-1463
症例78歳女性:平成3年2月に汎血球減少を指摘された。骨髄は正形成でblast 11.7%, 巨核球に異形成あり骨髄異形成症候群のRAEBと診断される。輸血とubenimexを投与したが7月に急性白血病に移行した。同年10月に入院。Hb 8.0g/dl, Plt 2.1万/μl, WBC 38,900 (blast 93%), 骨髄は過形成でblast 74%, 光顕MPO(-), 電顕MPO(+), CD13 42.6%陽性でFABのM0に対応した。染色体は,46 XX, t(9;22)(q34;q11)のPh1染色体が分析細胞中3/3に陽性で,Southern blot法でいわゆるbcr再構成がみられ,RT-PCR法でmajor bcr messenger RNAが検出された。輸血とmethylprednisoloneによりblastの減少とPh1染色体も1/12に減少を認めたが肺炎のために12月に死亡した。これまでにMDSにおけるPh1染色体陽性の報告は11例ある。Ph1染色体陽性急性白血病は幹細胞レベルでの変異に基づく不均質な疾患であることが示唆される。