臨床血液
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症例
腎形質細胞腫
加納 正加藤 久宗和泉 俊明辻 将公大熊 稔
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1993 年 34 巻 11 号 p. 1470-1473

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抄録

腎に発生した髄外性形質細胞腫はまれである。今日までに11例の報告がある。最近第12例目を経験した。これは京大病院で診察された第3例目である。文献を検索した。43歳男性例で,IgG-λを産生する頚椎の孤立性形質細胞腫が脊髄を圧迫したことによる四肢麻痺のため入院した。腫瘍剔出に次いで放射線療法と化学療法が行われた。2年後には,胸椎,左鎖骨,後頭部と新しい腫瘍病変が次々と発生した。Bence Jones (λ)蛋白陽性であったが,血清中にIgG (λ)型M成分を認めなかった。髄外病変を検索するため,Ga-67シンチを施行し,著しい集積像を示す腹腔内腫瘍が発見された。CTにより右腎腫瘍(73 cm×53mm)と数個のリンパ節腫大と判明した。右腎の超音波検査でも水腎症を伴う腫瘤であり,RIレノグラムでは右腎の排泄遅延を認めた。尿沈渣中には骨髄腫細胞の集簇像が繰返し観察された。かくして腎形質細胞腫と診断した。放射線療法単独で十分な効果が得られた。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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