1993 年 34 巻 3 号 p. 362-366
同種骨髄移植後30日目に,19歳の女性に赤血球破砕症候群を発症した。移植前処置としては,全身照射(total 12 Gy), cytosine arabinoside (total 6 g), cyclophosphamide (total 6 g)を施行した。著明な貧血,網赤血球数の著増,破砕赤血球の出現をみたので,シクロスポリンAによる赤血球破砕症候群を疑い,投与をただちに中止し,methotrexateに変更した。シクロスポリンAの投薬中止後,この溶血性貧血は改善した。数週間後に,再びシクロスポリンAを使用したところ同様な溶血性貧血が出現したが投薬中止後再び改善した。したがって赤血球破砕症候群はシクロスポリンAによるものと考えられたが,GVHDおよびサイトメガロウイルスの関与も否定できないと思われる。