抄録
原発性マクログロブリン血症(WMG)はIgMタイプのM蛋白を示すBリンパ球系の腫瘍性増殖疾患で約80%の症例で正球性正色素性貧血(NNA)の合併が報告されるがその原因は明らかではない。われわれは,経過中に赤芽球癆(PRCA)様病態を呈したWMGを経験し,正常骨髄単核細胞(BMMNC) CFU-Eコロニー形成能による病態の検討を行った。症例は59歳の男性。入院時総蛋白9.7 g/dl, γグロブリン48.2%, 免疫電気泳動にてIgM分画にM蛋白を認めWMGと診断した。入院時より著明なNNAを示し,さらに進行したが網状赤血球は低値,骨髄は赤芽球系細胞が著明に減少し,エリスロポイエチンは高値でPRCA様の病態と考えられた。BMMNCのCFU-Eコロニー形成は患者末梢血リンパ球添加で抑制され患者血清添加で促進された。患者サプレッサー/キラーT細胞(Ts/c)亜分画群添加で,もっとも強く抑制され,混合比依存性を示したことより,同種赤芽球系前駆細胞に対する抑制性Ts/c細胞群の存在が示唆され,WMG患者で証明し得たまれな症例と考えられた。