臨床血液
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臨床研究
抗胸腺リンパ球グロブリン(Lymphoser Berna®)による再生不良性貧血の治療
小島 勢二松本 公一加藤 剛二松山 孝治杉原 卓朗南 三朗小寺 良尚宮島 雄二片山 功堀部 敬三
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1993 年 34 巻 7 号 p. 815-820

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抄録

24例の再生不良性貧血患者(重症:19例,中等症:5例)を抗胸腺リンパ球グロブリン(ATG: Lymphoser Berna®)と大量メチルプレドニゾロンの併用療法で治療した。ダナゾールまたはメピチオスタンを同時に少なくとも3カ月投与した。この間に3ロットのATGが使用されたが,2ロットは血小板非吸着製剤であり,1ロットは血小板減少の副作用を予防する目的で血小板による吸着操作が加えられていた。治療開始より3カ月以内に評価可能な20例のうち9例(45%)に血液学的改善が得られた。血小板非吸着製剤で治療された14例のうち9例(64%)が治療に反応したのに対し,血小板吸着製剤で治療された6例では,1例も反応がみられなかった。全体としての3年生存率は81±27%であった。今回の成績から,わが国においても,ATGは再生不良性貧血の治療薬として,きわめて有効であると考えられた。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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