臨床血液
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臨床研究
Steel factor, granulocyte macrophage-colony stimulating factorによる急性骨髄性白血病細胞増殖刺激効果と造血因子依存性細胞株MO7eに対するcytosine arabinoside感受性増強効果の検討
後藤 明彦川西 慶一黒澤 一代宮澤 啓介大高 正裕相澤 信木村 之彦吉川 治外山 圭助
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1993 年 34 巻 7 号 p. 821-828

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抄録

生体内造血系においてgranulocyte macrophage-colony stimulating factor (GM-CSF)は骨髄単球系前駆細胞の分化・増殖を,Steel factor (SLF)はより未熟な幹細胞の増殖を支持する造血因子として知られている。われわれは12例の急性骨髄性白血病患者について白血病芽球の試験管内でのSLFとGM-CSFの作用を検討し,12例中10例にいずれかに対する,7例で両者に対する有意な増殖反応性を認めた。そこで,造血因子依存性白血病細胞株MO7eをモデルとして,おのおのの造血因子とその併用の細胞回転に対する作用と,cytosine arabinoside (ara-C)の感受性増強効果について検討した。その結果,SLFとGM-CSFは単独で休止期MO7e細胞の細胞回転導入効果とara-C感受性増強効果を示し,さらに両者の併用では相乗的な効果を認めた。以上よりSLFとGM-CSFの併用による前処置は同種あるいは自家移植を利用した治癒を目指す強力な白血病治療において有力な手段になる可能性をもつと思われた。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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