臨床血液
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臨床研究
急性白血病患者の化学療法および骨髄移植患者における平均血小板容積測定による血小板・巨核球系造血の評価
権藤 和美宮地 勇人田中 由美子川田 勉加藤 俊一有森 茂安藤 泰彦
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1993 年 34 巻 7 号 p. 835-841

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抄録

われわれは,平均血小板容積(mean platelet volume: MPV)が,化学療法後の骨髄抑制からの血小板・巨核球系造血の指標となり得るかを検討した。完全寛解導入療法を施行された14例の急性白血病におけるMPVの経時的変動は,有意差(P<0.01)をもって,化学療法前(9.7±0.8fl)に比較し,化学療法後(9.2±0.4fl)に低下し血小板数回復時(10.2±0.5fl)または回復に先行して一過性に増加する傾向がみられた。また21例の骨髄移植患者においてMPVの経時的変動を検討した結果は,急性白血病化学療法時と同様の変動がみられた。さらに,血小板数回復に先行するMPV上昇を基準とした生着確認日を設定することが可能で,MPVによる生着確認日(19.9±5.8日)は,有意差(P<0.05)をもって血小板数による生着確認日(24.8±6.7日)より早期であった。急性白血病化学療法時または骨髄移植時においてMPVは,血小板・巨核球系造血回復の早期の指標となり得ると考えられた。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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